コラム

家計相談Q&A (第24回)マイホームと離婚!

※この原稿は、令和元年10月2日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:専業主婦で小学生の子どもが二人います。5年前に建てた家の住宅ローンが残っていますが、主人の浮気が原因で離婚したいと思っています。

A:離婚による財産分与については、貰った側には原則として贈与税は課税されません。また、山陰ではマイホームの時価は、通常、取得時よりも値下がりしているので譲渡所得税の対象とはなりません。
さて、「マイホームと離婚」では色んなパターンが有りますが、今回の相談者のケースに限定して回答します。ジュンさんは、実家にも戻れないので、今の家に子ども達と住み続けることを希望しています。一方、今回の様に財産分与にあたり、マイホームの住宅ローンが残っているときにはどうなるのか?妻の立場で考えると次の方法が考えられます。マイホームの名義人(住宅ローンの名義人)は夫です。

  • 妻が財産分与によりマイホームを取得し、住宅ローンは夫が返済を継続する。
  • 妻が財産分与によりマイホームと住宅ローンを取得する。
  • 夫がマイホームを売却し住宅ローンを完済し、残った資産を財産分与により妻が取得する。

1は妻から見たら最も危険なケースです。離婚協議書に明記しても夫がローンを返し続ける保証は有りません。また抵当権者である金融機関等に内緒で実行した後で、その事実を金融機関等が知った場合には、夫が残債一括返済を要求される可能性もあります。2では、妻に所得がないときには金融機関が名義変更に難色を示すことが想定されます。3については、相談者の希望とは異なり、また売却してもなおローンが残るので妻に多くの財産を分与できなくなります。

この3つの中で一番あと腐れなく、スッキリと別れられるのは3の方法です。全てを清算し慰謝料と預貯金の財産分与で一から新しい人生に向かっていくのも潔い姿と言えるでしょう。離婚前後の生活設計は私の専門ですが、一方、具体的な手続きは弁護士または司法書士に相談下さい。

今回のケースは決して稀な例ではありません。住宅ローンが残っているマイホームは離婚の際には大きなハードルになります。

【アドバイス】
①離婚を切り出す前に住宅の評価額や財産のチェックなど用意周到な準備を
②夫名義の預金隠し、学資保険の解約には注意
③独身時代の財産は財産分与の対象外

ジュンさん(仮称)の家計/松江市在住
夫( 39 )・妻( 37 )専業主婦・子ども2人(小学生)預金残高724万円