コラム

家計相談Q&A (第65回)住宅ローンは家づくりの最後の締め括り!

※この原稿は、令和5年11月5日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:某ハウスメーカーの見学会に立ち寄ったら、どんどん話が進んでしまい、気づいたら契約寸前。慌てて我に返ってみると家づくりは分からない事だらけ。そもそも住宅ローンは何から考えたら良いか分かりません。

A:住宅ローンには勘違いが沢山有ります。そもそも借金ですから少ない方が良いに決まっていますが、でも悪い借金ではありません。ライフデザインに合わせて上手に使うととても都合の良い金融商品です。一方、間違いや誤解も多く、弊社では施主様任せにせず、住宅ローン設計書を作成します。(図参照)

勘違い1:住宅ローンを最初から考える方がいますがこれはそもそも不可能。家づくり全体では、住宅ローンは最後に行う集大成。弊社では、まず①将来家計簿(=予算計画)、②マイホームプラン書(=間取りデザイン)、最後に③住宅ローン設計書の順番で行います。総予算の把握を目的として将来家計簿を作成する事で適正予算額が分かります。資金調達手段は預金から出す現金(頭金)・借入・贈与の3つしかなく、将来家計簿から頭金適正額も計算で出ますので、必要な借入額(住宅ローンの額)が判明します。尚、事前審査で各金融機関の情報は収集しておきます、次に間取デザインを行い必要工事費が判明します。それが終わったら最後に住宅ローン設計を行います。金融機関とローン商品の選択、借り方、支払条件の交渉と支払いタイミング、現金・ローンの使いわけ、贈与のタイミング、連帯債務と単独債務の別及び債務割合の決定など、すべき内容は沢山あります。

勘違い2:住宅ローン控除制度により、上限年間35万円×期間13年=最大455万円儲かると思っている方がいます。借金ですから支払利息が発生します。Aさんは、借入額3,000万円、期間35年とした場合、当初10年間の住宅ローン控除額(夫婦合計)は179万円、一方、住宅ローン支払利息は240万円で約61万円のマイナスとなります。年間では6万円程ですので、それ程損はしていないとも言えます。この際、理想的な夫婦の債務割合は夫79%、妻21%になります。

勘違い3:贈与が有った場合には、住宅ローン借入額から贈与額を差し引きますので控除額が減ります。贈与の翌年3月15日迄には上棟が要件ですので贈与のタイミングも重要です。外構工事を住宅ローンで賄った場合、額が建築費の1割を超えたり、発注先が建築業者と異なる場合は住宅取得費とは認められない点にも注意が必要です。最後に、弊社のクライアントでは70代でも新築をした方が複数います。その際、現金を使うことに不安があれば借入を検討しますが、新規借入やがん団信には年齢制限が有ります。継続的な収入が有れば金融機関に相談してみる事をお勧めします。

【アドバイス】
(1). 住宅ローンは家づくりの最後のまとめ。
(2). 将来家計簿を作れば総予算と頭金適正額も分かります。
(3). 控除率0.7%より金利の方が大きいので本来の借金のリスクを理解する。

Aさんの家族構成:
夫:40歳会社員、妻38歳会社員、子2歳、夫収入410万円、妻収入183万円、税社会保険料118万円 ( 夫婦合計の所得税9.5万円、住民税20.4万円 )、可処分所得487万円。現在はアパート暮らし、実家の土地に家を建てる予定。