コラム

家計相談Q&A (第81回)リタイヤ直前の夫婦、老後資金が不安!暖かく、虫の入ってこない家が欲しい!!

※この原稿は、令和7年2月28日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:夫リタイヤ後、年金だけでは生活費が足りません。老後に預金を取り崩すことになると思うと不安です。更に自宅は老朽化が酷くリフォームに幾ら掛かるか分かりません。冬は室内でも底冷えがして、夏は虫が入ってくるのでとても嫌です。

A:Aさんの相談は、老後資金と住まいについての2つです。最初に現状に付いて将来家計簿で試算して老後資金が不足していないか確認します。試算の結果、住まいが今のままだと仮定しても80歳時点で貯蓄残高はマイナスとなり、家計破綻となる結果ですので、まず生活そのものを改善する必要が有ります。これには、現在の1,500万円の貯蓄と予定される退職金を含んでいます。今の生活費とチェックリストから定年後の生活費の予測と問題点の把握はできますのでその減額、車買い換えと維持管理費用の減額或いは取り止めといった事は必須です。これだけでも収支は大きく改善します。

住まいに付いて、自宅に住み続ける場合にはリフォームや2世帯住宅への建て替え、不動産担保型生活資金制度といった選択肢があります。住み替えなら、買い換えや売却して賃貸、高齢者施設への入所などの選択肢が考えられます。この中から本人の希望や予算、介護や相続などを考慮して選択することになります。ご要望を叶える為にリフォームした場合、最低限2,500万円以上は掛かる上、元々の築年数が古いのでリフォームして終わりではなく更に定期的に修繕費用が掛かり現実的な選択肢では有りません。一方、新たに市内に土地から買い求める資金的な余裕も有りません。マンション住まいは生活スタイルから希望されていません。また暖かい家という性能には強いこだわりが有ります。以上から隣の自己所有地に2人用の平屋を新築するという結論になりました。勿論、予算は厳しいので初期の建築プランをしっかり作成した上で、これが実行可能な建築業者と交渉する必要があります。住宅資金手配に付いては、全額現金がご希望でしたがこれだと将来、預金が底をつきますので一部は頭金を用意し、住宅ローンの選択をサポートします。

老後の公的年金では繰り下げ受給をご希望でした。確かに夫が受給を5年繰り下げると年間89万円多くなります。但し、これを選択した場合には69歳から79歳まで貯蓄残高に殆ど余裕が無い状態になりますので賛成できません。参考として繰り下げによって受け取らなかった65歳から70歳までの分は、約12年(82歳)が収入ベースの分岐点です。

複合的な改善により、70歳以降は生活費の多くを年金で賄え、年間収支は毎年50万円程度のマイナスから、毎年79万円程度のプラスに改善されます。80代でも680万円以上の貯蓄が維持でき、100歳時にもマイナスになることは無い見込みです。出来れば50代頃から夫婦で話し合い、60代で建て替えなど計画的に実行に移すことが重要です。

【アドバイス】
(1). 将来予測の試算で現状を理解します。
(2). 不動産では相続人も交えて事前協議が必要です。
(3). 基本設計を作成した上で業者と協議します。

家族構成:
Aさん(63歳・パート勤務)、夫(63歳・60歳定年後、現在の会社に再就職・65歳で完全リタイヤ)、長男と長女は既に独立し、夫婦2人暮らし。