コラム

家計相談Q&A (第92回)祖母が遺した空き家を建て替えたい。

※この原稿は、令和8年1月26日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:実家が空き家になっています。元々は祖母が一人暮らしをしていた家で、祖母の死後は空き家になっています。他に住む人もいないので建て替えて住みたいと思いますが何か問題が無いか教えて下さい。

A:家づくりは、実は確認すべき点は少なくありません。必須は権利関係の確認で、名義・隣地境界線や接道条件で再建築不可のケースも考えられます。名義人が親でない場合は簡単に売買や贈与で権利を移すことはできません。更に住宅の設計後には、将来家計簿から住宅ローンの借入後の生活や教育費に問題がないかも検証します。

今回、空き家の登記事項証明書を確認したところ土地建物の名義は亡くなった祖母のままであることが分かりました。まずAさんの母とその兄弟間で遺産分割協議書を作成した上で相続登記をおこないます。この空き家は祖母の娘である母が管理していたので揉めることなく済む様です。名義変更が完了した後、この空き家の利活用には3つの選択肢が有ります。

①Aさんの夫が母から土地を買い取り、その土地にAさんの夫が建物を建てれば権利関係をまとめることが出来ます。但し、評価額に見合った額で売買しないと低額譲渡とみなされることも有り、また親族間売買では住宅ローンの対象外となることも有ります。更に母に譲渡所得が発生するなど、あまり良い案では有りません。

②次に相続時精算課税制度の非課税枠内でAさんへの土地の贈与が想定されます。但し、この制度は贈与者が60歳以上であることが要件ですので今回は適用対象外です。

③3つ目は使用貸借です。土地の名義はそのままに少額の賃料で土地を借り受け、その上に建物を建てる方法です。住宅ローン借入に際し担保提供者(地権者つまり母)の承諾が必要です。また将来の相続のことはAさんの兄弟間で話し合っておくか遺言書などの対策も必要です。

Aさんの建物建設分だけの負担で進めたいとの要望からそれ以上の費用が発生する売買や贈与は見送ることにし③の方法を採用します。尚、転職を伴うケースであれば勤続年数の要件により住宅ローンの借り入れができない場合もありますので注意が必要です。

以上の整理が終わった後、建替え後の生活が成り立つか将来家計簿で確認します。お子様の教育費は大学まですべて国公立を仮定し、住宅はAさん夫婦の要望を反映した基本設計から現実的な工事費3,800万円(税金登記費用別途)、頭金500万円、借入額3,300万円とします。解体費と滅失登記は名義人のお母様負担です。試算の結果は、Aさん夫のローン完済77歳時に預金残高が最も少なくなり560万円となります。但し、試算には生命保険の見直しに伴う保険料アップや自宅の修繕費は含めていないので、これらを今後含めると収支は厳しくなります。改善策としてAさんのパート収入(月額8万円程度)を提案。これで将来家計簿は大きく改善し77歳時の資産残高は2,000万円を超えます。大学教育費が想定より多くなってもある程度余裕が有ります。

【アドバイス】

(1). 空き家の利活用には専門家による事前調査が必須です。
(2). 建て替え、リフォームの両面から比較検討します。
(3). 最後に将来の教育資金、老後設計の安全を確認します。

家族構成:
Aさん( 35歳専業主婦 )、夫( 42歳会社員 )、長女( 5歳 )の3人家族

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