家計相談Q&A (第96回)贈与制度が複雑で分かりません!
2026年10月09日
※この原稿は、令和8年5月28日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:住宅資金の贈与で相談です。マイホームを建築するにあたり父親から資金援助の申出が有りました。贈与制度の大事な注意点を教えて下さい。
A:Aさんの場合、将来家計簿を作ってみると自己資金と返済可能な住宅ローンで建築出来るのは28坪が限界です。仮に今回の贈与分を加算すると32坪まで広げることが出来るので4人家族として現実的なプランになります。
住宅資金の贈与制度は、①住宅取得等資金贈与の非課税制度1,000万円、②相続時精算課税制度の特別控除2,500万円、③贈与税の基礎控除110万円の3つが有り、これらは選択や併用することもできます。つまり住宅資金として最大3,610万円まで贈与税が非課税になります。但し、それぞれの制度には要件や見落とされがちな注意点が有ります。
まず住宅取得等資金贈与の非課税制度は、質の高い住宅(断熱等級5以上、1次エネルギー消費等級6以上など)の場合1,000万円までは非課税となります。この制度を利用して贈与された資金は、贈与を受けた翌年3月15日までに住宅の取得、新築、増改築に使用しなければなりません。また同時期までに取得した住宅に入居することも条件です。なお、「入居の見込みがある」と判断された場合には、入居期限を遅らせることが出来ます。住宅取得のために贈与された資金を全て使い切る必要があり、残った額があれば贈与税の課税対象となります。重要で大変誤解が多い点ですが、簡単に言えば贈与された額に対しては住宅ローン控除は減額されますので、年間最大7万円×13年分の控除が無くなります。多くの人がこの制度を選ぶことが多い為、それが混乱のポイントになっています。
次に相続時精算課税制度は、原則として贈与者60歳以上が条件のひとつですが、前述の非課税制度と併用する場合に限り、60歳未満の贈与者であっても制度の利用が認められます。なお特例は、令和8年12月31日までの贈与に限るとされています。相続時精算課税制度は、贈与者が死亡した際に、贈与した財産は全て相続財産に足し合わされ相続税の課税対象になりますので、予め相続税を確認しておく必要があります。紙面の制約から細かな説明は省きますが、Aさんの場合、贈与者が60歳を超えていることから、この制度を利用しても住宅ローン控除額の減額が無いのが相違点になります。またAさんは相続税の心配も無いことから、通常の相続時精算課税制度のみの選択が正解となります。
贈与を受けた翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告や選択届出書を管轄の税務署へ提出しなければなりません。仮に贈与税が0円になる場合でも、贈与税申告は必要ですので注意して下さい。
【アドバイス】
(1). 贈与の有無は計画段階で分かると問題が少ないです。
(2). 税制は必ず自分に当てはめて計算します。
(3). 贈与後の父親の生活も将来家計簿で確認します。
家族構成:
Aさん(41歳・会社員)、妻(38歳・会社員)、子2人の4人家族