コラム

家計相談Q&A (第14回)我が家の「年金不足2,000万円問題」

※この原稿は、令和元年6月30日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:50代の夫婦でアパート暮らしです。人生の後半を迎えるにあたり、終の住処を建て老齢の親も一緒に暮らしたいと思っています。年金2000万円問題が注目されていますが、私達の老後は大丈夫でしょうか?

A:
公的年金だけでは不足
公的年金だけで老後資金を賄うことは出来ません。年金は賦課方式ですが、20歳からの40年間で年金保険料を払い、その結果、同じ期間の老後40年を公的年金だけで不足なく暮らせると考える方に無理が有ります。しかし、不足するとは言え、最低限の額は保障しているのが公的年金です。制度自体は100年安心でないと困ります。大事な視点は、社会制度の批判をしても仕方なく、制度に合わせて生活設計するしかないという点です。10年以上前から、年金セミナーで毎月4万円足らない分は70歳まで働けば問題は解決しますと言ってきました。最も確実な解決策は働いて収入を得ることです。

フミさんの家計
公務員は職域加算が廃止され、長期の継続雇用も難しいので、以前程、優遇された立場ではなくなりました。それでもフミさんのご主人は60歳定年後、以前の50%の給与で5年間就労できることで、老後の赤字は辛うじて回避できています。住宅予算は、生活の利便性から市街地を希望し、また親との同居から広目の延床面積と気密断熱性能も必須ですので4,000万円は適正予算額です。

現状のままですと78歳時314万円が貯蓄残高のボトムとなります。赤字では無いですが、とても不安な状況です。将来家計簿は赤字にならなければ良い訳ではなく余裕が必要です。老後の生活費見込み23万円/月とし、最低でも1年分の生活費と予備費700万円を残す為にボトムは1,000万円以上になる様に家計を見直したいと思います。

フミさんの昨年の家計は129万円の赤字です。大学費用(特別費)が原因で、一般的には事前積立か借入で対処しますが、昨年の赤字は問題有りません。家計バランスから分かる様に「その他」・「保険料」・「貯蓄」の3つの内、「その他」は車検費用が原因ですので残り2つの費目が要チェックと分かります。この2つを見直す事前準備として、保障分析と老齢年金、遺族年金の把握が必要です。保障分析の結果、終身保険は不要で収入保障保険だけで十分と分かります。老齢年金は夫婦計328万円(月27万円)、遺族年金は155万円(月13万円)です。これを基に不要な生命保険、個人年金を解約します。生活費等は一切変更することなく、生涯を通して預金残高が1,188万円を下回る事は無い様に改善することが出来ます。またご主人に万が一の場合でも、残された奥様は生活に困る事は有りません。

 

【アドバイス】
①50歳を過ぎれば死亡保障を中心に過剰な保険は見直す。
②高齢者における「何となく不安」は、「具体的な不安」に置き換えると解決策が見えます。

フミさんの家族構成/松江市在住
フミさん(50)パート勤務、夫(52)公務員 子供は1人(21)
年収:フミさん108万円、夫721万円、一家の手取り657万円
金融資産残高:1,256万円(普通、定期預金)積立年金70万円(5年間)個人年金28万円確定10年
生命保険:医療、終身、収入保障保険(80歳まで)
マイホームは53歳時(予算4,000万円、贈与750万円)