家計相談Q&A ( 第27回 )契約書にハンコを押す勇気が有りません!
2025年07月02日
※この原稿は、令和2年8月31日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:マイホーム建築予算は2500万円迄と思っています。予算内の契約書でも、いざとなるとハンコを押す勇気が有りません。どうしてでしょうか?
A:弊社クライアントの実に9割以上が、最初は予算2500万円と言います。多分、「今の家賃並みで買えます」というCMから計算した金額です。これではハンコが押せないのは当たり前。これには2つ理由が有ります。
理由① 何故ならそこには教育資金も老後資金も更には生活費も考慮されていないからです。ココは男らしく勇気をもって決断!とかでハンコを押す方も居ますが、ココに勇気も決断は要りません。これらを考慮した資金プランを作って明確な判断基準を持てば、無理なく安心してハンコが押せます。
ついでに言えばココで計算される金額は総予算。次に弊社ワークシートで建物予算が出せるので、これを引算すると土地予算が出ます。これで土地契約書にハンコが押せないという事態も回避できます。
理由② 建築業者が作った資金プランを持参する方も居ます。大抵は建築プランと見積が先にあって、「このローンを払っていくには」という計算書です。これは順番が逆です。本来は生活資金から住宅予算を先に計算し、その予算内でデザインを行うのが正しいマイホーム計画の手順です。
さて今回の相談者も先の2つの理由が当てはまるのでハンコが押せなくて当たり前。一旦、元に返ってハナコさん夫婦にとって安心できる住宅予算額を出します。家計バランス診断をみると他の家計と比べても生活費は抑えられていて明確な問題点は有りません。
FPの教科書的には、真っ先にハナコさんの年収アップという指摘が出そうですが、それぞれの家庭の事情やハナコさんの人生観があるので実際の相談の現場では( 少なくとも私は )、その様な対策は取りません。強いて言えば6件の生命保険に対し保障分析の結果から年間保険料を約10万円削減出来ます。家族が不便を感じない見直しから着手するのがセオリーですので、使途不明金を出さないという対策も取れます。
この様な基本的な見直しですが、その結果、住宅予算は3,350万円( 土地建物込み )という実現可能な予算額となります。老後を見ても85歳時点が最も資産額が少なくなりますが、生涯、資産残高が赤字になることはなく100歳まで余裕を持って生活することが出来ます。これで「勇気をもって決断」では無くて、「安心」してハンコが押せる様になりました。
【アドバイス】
①契約書にハンコを押すのに勇気も決断も要りません!
②まず最初に、冷静に予算額を把握することから!
③その予算額を念頭に住宅見学会を回れば正しい判断が出来ます!
ハナコさんの家計 / 奥出雲町在住
夫( 45 )会社員・妻( 41 )パート・子ども2人( 小学生高学年 )