コラム

家計相談Q&A (第52回)定年を目前にお家を建替えたい!

※この原稿は、令和4年10月2日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:定年直前の夫婦です。今の家は親が建てた家で冬は底冷えし台所も不便です。ずっと我慢してきました。老後の為に体にも楽な家に建替えたいと思います。予算は幾ら出しても老後は安泰でしょうか?

A:大変多い相談です。老後は収入・支出共に費目が限られ、生活費・老齢年金・遺族年金を確認し将来家計簿を作れば予算額は簡単に答えが出ます。一方、典型的な落とし穴は、①住宅ローンと手持現金のバランス、②設計・住宅性能と予算のバランスでこの2つには細心の配慮が必要です。

予算額
現状の基本生活費年間324万円なら、住宅予算は2,500万円が上限となります。解体、外構工事も含めるとご要望の平屋の高気密住宅を建てることは難しいでしょう。基本生活費に正解は有りませんが、弊社顧客平均の年間290万円以内に収め、かつ生命保険料を89万円まで減額出来れば、住宅予算は3,500万円確保でき現実的な建替プランが可能です。

住宅ローンと手持ち現金
「住宅ローンは定年までに完済、老後は借金をしない」とはよく本に書いてある事ですが、一方「一定額の現金は残しておく」という現実に即した考えも必要です。この際、住宅ローンは借入時と完済時に年齢制限が有り、借入期間は最長約20年となります。団信には更に厳しい年齢制限が付きます。今回、住宅ローン借入2,500万円を20年で返済した場合には、利息合計は238万円になりますが、これを住宅ローン控除と普通団信が終了する13年目に全額繰上げ返済760万円を行うことで利息を185万円まで圧縮し完済することが出来ます。この計画により生涯の預金残高は最低1,000万円をキープ出来ます。

間取・住宅性能と予算
建築費の知識が無い為か高額になる間取・住宅性能を要求し、見積額を見て驚く方が多いのが実態です。実は設定した予算内に収める為にはココの部分のカウンセリングが非常に重要です。夫婦の老後に向かい、優先する事と諦める事の現実的な選択が必要です。

遺族の生活
不幸にもご主人が無くなった場合の考察も必要です。Aさんが受取る遺族年金は年間154万円、これに生命保険給付と預金残高が加算され生涯の生活は余裕を持つことが出来ます。勿論、住宅ローンは繰上げ返済まで団信の保障が付きます。

【アドバイス】
(1). 家の予算は根拠の無い希望額ではなく、現実的なプランで老後の確認を行うこと
(2). 生命保険の死亡保障は遺族年金と見比べると節約できます。
(3). 常に見積額を確認しながらデザインを進めること。

家族構成:夫60歳年収680万円、Aさん58歳、パート勤務年収96万円、 子供1人は既に独立
貯蓄残高1700万円(定期預金等)住宅資金の贈与 600万円。
とにかく冬暖かく家事動線の楽な住宅を希望。