家計相談Q&A (第56回)子どもには「大学には行くな」と言っています。
2025年07月02日
※この原稿は、令和5年1月31日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:現在、アパート住まいです。今後はマイホームが希望ですが、2人の子どもの進学費用も心配で家計が成り立つか不安です。子どもには「大学には行くな」と言っています。
A:人生の3大資金は、①教育資金、②老後資金、③住宅資金の3つです。平均的な金額は、教育資金は子ども2人で約3千万円、老後資金は公的年金と老後生活必要額の差額( 不足額 )がモデルケースにおいて約3千万円、住宅資金は島根県の注文住宅平均額(土地込)※が約3千9百万円です。何れも3千万のお金を30年掛かけて作っていく必要が有るので、簡単に答えが出せる問題では有りません。一方、無用に不安を持ったり或いは避けたりする必要はなく、正しく手順を追えば必ず答えが出せる問題です。
Aさんには大きな誤解が3点有ります。まず3大資金には、優先順位が有ります。1番は教育資金、次が老後資金、最後が住宅資金です。この順番を間違えると人生おかしな事になります。私には最後の住宅資金の相談がもの凄く多い訳ですが、最初に教育資金と老後資金を解決しておかないと、最後の住宅資金は答が出ません。誤解1として、子どもに「大学には行くな」というのは不適切な発言で、家計の状況をキチンと説明し、親として勿論応援はするけれど、「それでも親として出来る事、出来ない事」を説明すべきです。
誤解2は家計状況に付いてです。Aさんはご夫婦来で社されたので、良い機会ですからその場でヒアリングをして将来家計簿を作成しました。心配の通り、人生の大半が赤字で不足額は最大2千万円以上になります。対策は、①Aさんのパート収入UP、②生命保険料の減額、③車購入費の見直し、④車保険の見直し、⑤奨学金・公的教育融資の検討の5点で、①~④は直ぐに実行できます。①に付いては103万円の壁を意識して年額90万円程度に抑えているとの事でしたが、これは制度を正しく理解されていません。②は共済や収入保障保険への切り換え、就労形態が変わる事で個人年金保険の必要性も下がりますので再検討します。⑤に付いては進学先を考える際に子どもと一緒に検討します。
誤解3は家づくりに付いて。現段階はまだ購入する土地を探している段階ですが、Aさんの実家にも住める土地が有るとの事ですので、これも現実的な候補として検討しては如何でしょうか。ご主人の方に心理的な抵抗があるかも知れませんが、今後の建物の設計で解決出来れば現実的な選択肢になります。その際に「土地はまず贈与しなければ」と思い込んでいるケースが有りますが、使用貸借で実務的な問題は解決できます。※住宅金融支援機構「2020年度住宅ローン関連調査(島根県)」
【アドバイス】
(1). 人生の3大資金には優先順位が有ります。
(2). 家計の欠点は直ぐに改善出来ます。
(3). 土地に付いては現実的な選択肢を検討します。
家族構成:Aさん:43歳・パート勤務。夫:49歳・会社員 子ども2人(中学生・小学生)