コラム

家計相談Q&A (第61回)娘夫婦が2世帯住宅を希望。

※この原稿は、令和5年7月1日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:60代主婦で単身、古家に住んでいます。アパート暮らしの娘夫婦が、2世帯住宅にして一緒に住もうと言ってくれています。私が支援できる資金は無く、少しばかりの生活費の負担しか出来ません。娘夫婦に負担をさせても大丈夫でしょうか?

A:一緒に暮らしてもお母様と娘さんなら気兼ねなく会話が出来ると思います。一方、今まで別々の家計であったものが一つになるにはお互いに配慮が必要です。食費、水道光熱費、冠婚葬祭、電話代などの負担増を若い世代が背負い、親がその一部を負担する事には将来に渡って安心・納得できるルールづくりが必要です。

娘さんの依頼で家計を拝見しました。このままでは、仮にマイホームの計画が無くてもお子様が大学進学前後に預金が底をつき、以降老後に渡って赤字が続く状況です。当然、住宅資金の負担が増えれば、更にその数年前から同様な事態に陥りますので、まずこれを改善します。実は人生には3回だけ家計に余裕がある(=お金が貯めやすい)時期が有ります。その内の1つが、お子様が生まれる直前或いは小さい時ですが、残念ながら大抵は貯めずに使ってしまいます。娘さんの家庭でもその習慣が残っている様です。決して他人に合わす必要は有りませんが、基本生活費(家賃・保険料・教育費以外)年間364万円は、収入に見合った支出に戻す必要があります。生命保険の契約内容にも必要無い保障が有り、削除し減額します。家計見直し後、親との同居後の将来家計簿を作成することで、安心ルールのひとつとして住宅予算3700万円を決定できます。

住宅ローン繰上げ返済は、イデコなどと比べても有効な資産形成手法です。借入3,300万円を35年で返済した場合、利息合計は822万円ですが、今回は上記見直しの結果、600万円の元入れ資金が確保でき、住宅ローン当初固定金利期間終了後の11年目に実行することで利息を570万円まで圧縮することが出来ます。

因みに定年まで働いた場合、娘さんご夫婦が受け取る老齢年金額は、基礎年金と厚生年金の合計が夫185万円、妻148万円で合計月約28万円となります。老後の生活費22万円から十分な額と言えます。

【アドバイス】
(1). 2世帯住宅では事前に新たなルール作りがポイントです。
(2).子世帯・親世帯両方の生活保障を考えます。
(3).家族構成で工事費が大きく変わります。

娘さんの家族構成:
夫42歳年収430万円、妻37歳年収336万円、 子供1人4歳
貯蓄残高640万円