コラム

家計相談Q&A ( 第72回 )20代のマイホーム

※この原稿は、令和6年6月3日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:20代共働き夫婦です。子供も出来て早く家を建てたいと思っています。気をつける点は?

A: 20代の家づくりには他の世代には無い難しさが有ります。それは、家族構成がまだ固まっていない事と、今後10年間で価値観や体調面が大きく変わる可能性があるからです。弊社では、年間30棟前後、年代は主に30代半ばから70代までの方の家づくりをサポートしています。一方、20代が少ないのは、先ほどの難しさが大きな壁になるからです。その上で家づくりを進める必要が有ります。

ポイント1. 資産形成のスタート段階Aさんは共働きで家計は赤字では無いのですが、今後10年間は余裕が無い状態が続きます。家計に余裕が無いのは、そもそも最初の貯蓄が少ないのが原因でそれを引き継いでいるだけ。今の家計に問題がある訳では有りません。人生には3大貯蓄チャンス(これは私が名付けました)が有って、長い人生で貯蓄できるチャンスは3回のみ。最初は20代前半で結婚後の夫婦2人だけの期間です。意外にも生涯を通して生活費が最も多いのもこの時代で、貯めるチャンスという認識が無いので使ってしまう方が殆ど。身に覚えがあるのでは?改善するには、お子様が誕生するまでの間に出来るだけ家計を元に戻して貯金するか、贈与などが有った場合の2つ。因みに2番目のチャンスは、お子様が大学に入る迄の期間、最後の3番目はお子様が大学を卒業してから本人の定年退職まで。この2つにも注意点が有りますが、それは別の機会に。

ポイント2. 問題点が掴み難い20代の方は、余裕が無いのは住宅予算が高額だからと思い予算を減らし小さな家にする傾向が有ります。前述した様にそもそも家計が原因では無いので、住宅予算を減額しても状況は大きく改善しません。逆に予算を増やしても悪化することも有りません。

ポイント3. 今に重点を置くと失敗10年後、30代になりお子様が成長すると同時に家が手狭に感じる様になります。そして同時に体調面や価値観も変わり、20代に好んでいたはずのデザイン・間取りに違和感と後悔の念が生じる様になります。つまり家族の成長と同時に本人の嗜好自体が変わります。この結果、20代と30代ではそもそも志向する家が違うという結果になります。以上の事情から20代では注意深く家づくりを進める必要があります。10年後の家族の姿や価値観の変化を想定し、将来、違和感を持たない様にデザインする事が大事になります。Aさんも将来も見据えた間取りとそれに応じた予算で進めて下さい。家計の改善点としては、食費・車購入費・交際費の3つは節約できます。将来家計簿で試算をしてみると、共働きを続ける事で老後には余裕が生じます。個人年金保険や確定拠出年金など老後資金対策のみであれば今の家計状況を一層苦しくしまたその必要性も有りません。最後に20代の方は人生の限られた貯蓄チャンスを活かして下さい。

【アドバイス】
(1). 20代の方は、10年後をイメージすること。
(2). 予算面は、今の収支ではなく老後までの試算で判断すること。
(3). 設計面は、まず多くのプランと情報を集めること。

Aさん(出雲市在住)、夫( 27 )会社員・妻( 25 )会社員・子ども1歳・将来もう一人希望