家計相談Q&A (第73回)娘夫婦が家を建てるそうです!
2025年07月02日
※この原稿は、令和6年6月27日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:娘夫婦が家を建てるそうです。口出ししない方が良いとは思いますが、話を聞くとこんなにお金を掛けて本当に大丈夫なのか、年金生活の私たちを頼られても困るので本当に心配です。
A:長年家づくりの相談を受けていますが、お子様の家づくりでも、近年は親御様であったり、或いは親子一緒に来社されたりする事も決して珍しくありません。私も親の年代ですので心配なお気持ちは良く分かります。さて、家の予算の出し方は4つ有ります。初期のレベルから順にその問題点と一緒に記載しますので親子で振り返ってみて下さい。
レベル1. 欲しい家の総額 最初に思いつく予算の考え方は、「こんな家が欲しいけど、どれ位掛かるの?」という総額です。一方、出せる金額は2,500万位だけど、見積書は3,500万円だったなんていう実態に愕然としたりします。この段階は、全ての数字に根拠が無く、そもそも自分たちがどれだけ負担できるのかも把握していません。
レベル2. 銀行の住宅ローン貸出額 ローンが付かなければ工事契約に至りませんので、これは建築業界側の事情による考え方です。この段階では図面と見積が根拠となりますが、「そんなに掛かるのですか?」と驚くと同時に、「そんなに借りて大丈夫?」という不安が芽生えます。これに対して「繰上げ返済したら大丈夫ですよ」なんて根拠の無い説得をされたりします。
レベル3. 本に記載の予算の出し方 世間には難しい本が沢山有りますが要約すると簡単です。お金の出処は、住宅ローン借入額・自己資金・贈与の3つしかないのでこれを計算して総額を出す方法です。この場合、住宅ローン借入額は、毎月返済希望額から計算します。一方、この方法は人生の他の費用が考慮されていないので実は何の根拠も無い方法です。
レベル4. 将来家計簿を作る 人生百歳までを見て、三大資金を同時に考えながら、今家づくりに何れ位掛けても将来安泰かという視点で計算する方法です。家の予算の正しい唯一の計算方法で、弊社では70代で新築された方もいますが、この方法は全年代に通用します。答えが1個だけ出るのでスッキリしますが、個人によって答えは違います。その結果、意外に住宅予算は取れない事が分かります。計算で出る予算額は、通常、銀行の貸出額より小さくなります。ハウスメーカーでもこの方法を使う企業はありますが、大事な点は人生の出費には優先順位があること。例えれば家づくりは「余った資金で行う事業」なので決して家づくりを優先順位1位にはしないこと。さて、このコーナーは家計アドバイスですが、生活費や保険の見直しは、家の設計やここで解説した予算を掴んでから、それを実現する為に行います。前向きに生活費を見直す事ができる様になります。
【アドバイス】
(1). 家の予算の出し方(計算方法)は、1つしかありません。
(2). 答えがひとつだけ出ますのでスッキリし、「何となく不安」が消えます。
(3). 前向きに家計を見直すチャンスになります。
娘さんの家族構成:
娘さん(31歳、会社員)、夫(33歳・会社員)、子供2人。
現在は松江市内にアパート暮らしで、夢のマイホームに向かって親の支援を期待している様子。