コラム

家計相談Q&A (第84回)40代で出産、晩婚だが住宅購入は可能?

※この原稿は、令和7年5月26日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:40歳過ぎての結婚で今後に付いて不安を感じています。これから教育資金の準備ができるのか?市内で土地から買い求めると建物と合計で4,500万円超えると聞きますが可能なのか?加入している生命保険も不安です。保険代理店に相談しましたが提案された商品は自分たちに合わない気がします。

A:お二人とも40歳まで会社員として勤務されていますのである程度の貯蓄が有ります。それでも住宅を新築すれば借入が発生し定年時にもそれなりのローンが残るなど課題が有ります。まずは土地探しと並行して希望する住宅に付いてヒアリングを行ったうえで数種類の基本設計と概算見積を作成しました。何回か修正した住宅費総額を基に将来家計簿を作成し、教育費と老後資金が準備できるかを検証。生命保険は、貯蓄性がある一方、保険料が高めのタイプを勧められたそうですがまずは先ほどの資金確保の課題を優先して解決しました。

 40歳過ぎに第1子が誕生したAさん。年齢的なこともあり将来に不安を感じるのは十分理解できます。人生には3回だけ貯蓄が出来やすい時期があるのは繰り返しこのコーナーでも説明している通りです。1回目は結婚後すぐのお子様がまだ誕生していない時期、2回目はお子様が大学に入る前の時期、最後の3回目はお子様が大学を卒業してから夫が定年を迎えるまでの時期です。この3回目で夫婦の老後資金を貯めていく訳ですが、Aさんの場合、長男の大学卒業が定年退職後になるのでこの3回目が有りません。これに対し「住宅ローンは借入額を抑えて返済期間を短く組む、教育資金と老後資金準備を並行して行う」というのが世間一般の教科書的な回答でしょうが、これだと理想の住宅にはほど遠く、また定年前が非常に苦しい生活になり不満だらけになります。つまり今回のケースはよく有るケースでありながら、非常に対策が難しい側面が有ります。

 世間には誤解・勘違いが沢山有ります。まず実現可能な住宅予算を作る際の勘違いですが、雑誌の間取りやメーカー推奨の間取りが自分達に本当にふさわしいか冷静に見つめなおす必要が有ります。次に老後資金設計の勘違いですが、住宅ローンの無理な繰り上げ返済はせず、ある程度の手持ち現金は残した状態で公的老齢年金の「正確な把握」と老後生活費の「正しい設定」がベースになり、その中で奨学金や教育融資の返済をプランニングします。また働いて稼ぐというのは最も大きな効果がありますので雇用延長か再雇用を前向きに検討します。

 生命保険に付いては、団信以外の死亡保障を確保するのが望ましく、またAさんの死亡保障の確保も必要ですので収入保障保険の利用で保険料を抑えます。

【アドバイス】
(1). 実現可能な間取りとその適正価格を把握します。
(2). 現実的な住宅費用で将来家計簿を作成。
(3). 使途不明金も含んだ妥当な老後生活費を夫婦で取り決めます。

家族構成:
Aさん(松江市在住、42歳・会社員)、夫(44歳・会社員)、長男(1歳)夫婦ともに60歳過ぎで一旦定年退職するが65歳まで年収ダウンで継続雇用の見込み。