コラム

家計相談Q&A (第88回)家計に優しい家づくり

※この原稿は、令和7年10月25日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:親子4人家族、実家の近くにマイホームを新築するのが夢です。土地探しからですが、そもそも何から手を付けて良いのか、また土地は何を基準に探せば良いのかも分からず不安だらけです。

A:解答はズバリ!「家計に優しい家づくり」です。これは価格を抑えた住宅の事ではなく、家計の安全性を確認しながら進める家づくりの事です。具体的には、金銭面の生涯収支を確認しながら、設計上の省エネや断熱性能、住みやすさも実現し、時間を掛けてゆっくり丁寧に進める家づくりのことです。これは後悔しない家づくりの秘訣にもなります。

Aさんの相談は、家づくりのスタートでほぼ全ての方が感じる不安で、「そもそも家づくりの手順はどの様にしたら良いのか?」という問いと同じです。

手順1. 将来家計簿を作ることで100歳までの家計収支から、家づくりに使っても良い総予算額(A)が判ります。生涯の全ての収支を計算しますので、これからの働き方、夫婦のどちらかが亡くなった場合や今加入している生命保険の無駄や見直しも含みます。この時、生活費や使途不明金も確認しますので家計の見直も出来てしまいます。なお総予算額(A)は土地建物込みの総額ですので、まずこの答を正確に出すことが家づくりの全てのスタートになります。答えを出すことで「何となく不安」は消えてスッキリします。Aさんの予算額は、4,325万円です。一方、奥様は現在から52歳までの死亡保障額が不足しています。必要補償額は年齢とともに逓減しますので収入保障保険で検討します。

 手順2. 建築費見積シートで建物工事費(B)を把握します。ご家族の理想の間取をイメージし、弊社建築費見積シートを使って建物工事費を算出します。この時、図面は必要有りません。Aさんの建物価格は3,470万円です。

 手順3. 既に分かっている(A)-(B)で計算される金額が土地予算額(C)です。希望エリアの土地相場から面積も把握できます。Aさんの土地予算は855万円で広さは約71坪、これが土地探しの目安になります。実際の土地物件が見つかったら土地評価書を作成しますので、これを参考に購入するかどうか決めます。この後は土地と建物予算(B)に合わせて具体的な住宅設計を行います。
 以上のステップで上手く行かない場合は、生活設計の見直しから総予算額(A)の再検討を行うか、希望の間取を修正し建物工事費(B)を修正します。親族の意見によって住宅資金贈与・2世帯住宅・定期借地権住宅なども検討します。

Aさんに付いては、奥様に将来の転職希望が有りますので、目標年収を提示してライフデザインをサポートします。再就職先が決まった時点で再度、一連の金額を再確認します。以上が全て終わったら建築業者の選定に入ります。この手順なら家づくりを楽しむ事ができます。

【アドバイス】
(1). ゆっくりていねいに進めると同時に家計の見直しも出来ます。
(2). 今回説明した内容は最もリスクが少ない方法です。
(3). 家づくりは安心して楽しめることが最も重要です。

家族構成:
Aさん(安来市、39歳、会社員)、妻(31歳、パート勤務)、子供2人(小学生2年生、保育園)。