コラム

家計相談Q&A (第9回)念願の終の棲家をつくりたい

※この原稿は、平成31年2月10日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:50代の夫婦です。子供も独立し、これから二人で暮らす終の棲家を建てたいと思います。予算は幾ら迄出しても老後は安泰でしょうか?また、夫が亡くなった場合でも私の生活は大丈夫でしょうか?

A:お尋ねの点に付いては、生活費・老齢年金・遺族年金等を確認しライフプラン書を作ることで答えを出すことが出来ます。

予算額
基本生活費(家賃・保険料・その他支出以外)は年間324万円となっています。生涯の預金残高が500万円を下回らない条件を設定すると住宅予算は、総額3,000万円が上限となります。なお、税金登記費用約100万円は別に計上しています。市内中心部で土地を探し、ご要望の高気密住宅を建てることは難しいでしょう。基本生活費に正解は有りませんが、同年代・同じ家族構成の家計簿平均である年間290万円に収め、かつ生命保険料を89万円まで減額出来れば、住宅予算は3,700万円まで確保でき現実的な建築プランが可能です。更に生涯の預金残高を約1,000万円にキープ出来ますので安泰ではないでしょうか。Nさんご夫婦の公的老齢年金の合計額は、年間323万円ですので個人年金保険は必要有りません。

住宅ローンの返し方
住宅ローン借入3,200万円を27年で返済した場合には、利息合計は512万円になります。これを住宅ローン控除が終了する13年目(消費税10%の場合)に繰上げ返済700万円を行うことで利息を377万円まで圧縮することが出来ます。なお、この際も預金残高は1,000万円を確保出来ています。

生命保険の見直し
保険診断を行ったところ、ご主人の保険よりもNさん自身の死亡保障が過剰である上、自動更新時に保険料が大きくアップする内容でした。これを解約若しくは減額することで保険料の節約を行います。

消費税10%がお得
消費税増税は、住宅の予定がある方は大変興味ある項目だと思います。住宅ローンの債務者であるご主人の住まい給付金、住宅ローン控除の合計額は、消費税8%時には、267万円です。一方、増税後の10%時には、住宅エコポイントも加算され合計額は366万円になります。建物が2500万円と仮定すれば2%増税により税額は50万円UPですが、それを上回るリターンがあることが分かります。消費税10%時に建築した方が得となります。なお、住宅ローン控除で所得税控除を行っていますので、これが有効な期間は、確定拠出年金の節税効果は有りません。

遺族の生活不幸にもご主人が無くなった場合、Nさんが受取る遺族年金は年間154万円です。これに生命保険給付と預金残高が加算されNさんの生涯の生活は余裕を持つことが出来ます。勿論、住宅ローンは団信により返済されます。

【アドバイス】
住宅予算額は、100歳までの生活の試算から逆算します。
(1).家の予算は根拠の無い希望額ではなく、現実的なプランで老後の確認を行うこと
(2).実は殆どの方が、消費税10%の方がお得
(3). 生命保険の死亡保障は遺族年金と見比べると節約できる

家族構成:夫52歳年収680万円、Nさん50歳、パート勤務年収96万円、 子供1人は既に独立
貯蓄残高1200万円(定期預金等)住宅資金の贈与 500万円
住宅は、延床35坪前後で高気密住宅を希望