コラム

家計相談Q&A (第13回)これからは単身赴任でお願いします。

※この原稿は、令和元年5月31日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:これまで夫の転勤には家族同伴でアパートや社宅住まいでした。しかし子供の中学進学を控えて家族で話し合った結果、来年には子供も希望していたマイホームを建て、夫には単身赴任をしてもらうことになりました。生活費は余計に掛かり、住宅ローンの負担も抱えて今後の生活は大丈夫でしょうか?

A:
一般的には
お子様の友人関係や進学という問題に直面した時、お子様が小さい時の様には簡単に引越しが出来なくなります。弊社のお客様にも転勤族の方は沢山いますが、上のお子様が、小学5年生前後が「定住」を意識するタイミングの様です。その結果、単身赴任となると会社の手当ての有無にもよりますが、毎月10万円前後の生活費が更に掛かります。これが何年続くか現実的に捉え、私がセミナーでお話ししている「将来家計簿」に組み込んでシュミレーションすることで、家計が成り立つのかどうか答えが出ます。

なつさんの家計
なつさんの家計は、住居費、貯蓄を除く他の費目は、理想の家計バランスとほぼ一致しているので、一見すると問題無い様に見えます。住居費は、転勤族ということで会社手当てがある恩恵で少額に抑えられ、その分を浪費することなく、そのまま貯蓄に回している格好です。これだけでも、なつさんの堅実な家計運営の努力が分かります。

具体的な貯蓄134万円の内訳ですが、純粋な預金の増額は約50万円であり、これも理想の家計バランスとほぼ一致します。他は実は学資保険で、2人のお子様に計5件の契約が有ります。十分な教育資金の手当てを確保したいという意向からですが、むしろ一部を住宅ローンの繰上げ返済に回す方が、現状680万円の住宅ローン利息を半減できて、その結果、教育資金手当てと生活の余裕、老後資金の手当てをすることが出来ます。勿論、お二人のお子様は国立大(下宿)という想定で十分な資金手当てが可能なことは、将来家計簿で確認出来ています。

次に保険料ですが、ご主人の保険は定期保険1件のみで、他は奥様の民間生保の終身・医療保険です。幸いご主人の職場には、ご家族も対象とした団体加入の保険があり、これらで再度保障を見直すことで、ご主人に対しても十分な保障の確保と保険料全体の減額が可能です。参考までにご主人に万が一の場合、なつさんには、50歳まで年額162万円、65歳まで119万円、以後終身で138万円の遺族年金が支給されます。保険設計の際の参考にして下さい。最後に、予定通り定年まで働いた場合、支給される老齢年金の額は、ご夫婦合計で年額308万円(月額25万円)となります。これらを踏まえると、単身赴任であっても予定するマイホーム資金は確保出来ます。

 

【アドバイス】
①人生には3大資金として教育・家・老後にそれぞれ3千万円が必要
②30代~40代にとっての優先順位は、①教育②家③老後の順番
③一つに偏ることなく、万遍な手配が必要
④保険の見直しは遺族年金の確認がベース

なつさんの家族構成/松江市在住
なつさん(40)専業主婦、マイホーム建築後の来年からはパート勤務を予定 夫(41)サラリーマン 子供は2人(11、8)
年収:総支給額711万円、児童手当と併せて可処分所得571万円
金融資産残高 1,310万円(普通、定期預金)マイホームは来年予定(予算3,850万円)