家計相談Q&A (第58回)マイホーム、私達のプランは正しい?
2025年07月02日
※この原稿は、令和5年3月31日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:親の土地にマイホームを建てる予定です。工務店や銀行からは土地は贈与して貰う様アドバイスが有りました。また住宅資金として親から資金援助が期待できるので、これは最後に造園業者に発注する外構費用に使う予定です。これらは正しいでしょうか?
A:整理すると問題点は3つ有ります。①土地の贈与、②住宅資金贈与と外構工事、そしてこれらに関連して良く間違えるのが③住宅ローン控除です。
まず①土地の贈与ですが、土地を贈与する必要は有りません。親名義のまま、使用貸借として家を建てて何ら問題は有りません。今回の土地の相続税路線価から計算される評価額は、約1,000万円です。仮にこれを贈与するとAさんが支払う贈与税は、特例税率で約170万円です。なお、②に出てくる住宅資金贈与の非課税枠は、土地を購入する為の資金の贈与で、土地現物の贈与は対象外です。今回の様なケースは多くて、先日も弊社のお客様が金融機関から贈与する様アドバイスを受けましたが、後日、その必要は無かったと訂正が有りました。
次に②住宅資金贈与と外構工事ですが、これも良く有るトラブル事例です。本体工事費は住宅ローンで賄い、遅れて発生する外構工事に贈与資金を充当しようとする方は多いと思います。国税庁の通達※1では、住宅取得費となるのは「家屋と併せて同一の者から取得する構築物等で、その取得等の対価の額が僅少と認められる場合」とされています。分かり易く言えば、本体工事と同じ工務店から、全体工事費の1割未満であれば住宅取得費となります。Aさんは、別の業者に発注されていますので贈与非課税の対象外です。また贈与を受けた翌年3月15日において屋根(その骨組みを含む)を有している状態になっている必要がありますので、贈与のタイミングにも気を付けて下さい。
最後に③住宅ローン控除ですが、贈与が有る場合の控除対象額を勘違いしている方が多数います。贈与を受けた金額をマイホームの購入金額から差し引き、その残額のみが住宅ローン控除の対象金額になります。当初予定した税額控除にならないという事も有りますので、その場合は教育資金贈与など他の贈与非課税制度を利用するか、或いは確定拠出年金などの別の税額控除制度を検討します。
今回は良く見受けるトラブル事例です。マイホーム建築も家計診断と同じで最初に資金と設計の家づくり全体のバランスが取れた基本プランを自分で作る事が第一歩です。その上で参考程度に見学会に行くのが失敗しないコツです。※1租税特別措置法関係通達41-26 ※2相法1の4他
【アドバイス】
(1). バランスの取れたプラン作りが第一歩、見学会はその後。
(2). 教育資金や税額控除など他制度も含め検討します。
(3). 間違った情報が多いので納得するまで自分で調べます。
家族構成:Aさん:32歳・パート勤務。夫:39歳・会社員 子ども2人(小学生)