家計相談Q&A (第86回)見積額が高くてビックリ!
2025年08月19日
※この原稿は、令和7年8月19日時点の税制・法律を基に作成しています。
Q:4人家族でマイホーム新築を計画中です。展示場で面談した工務店から図面と見積書を貰いました。間取は希望通りでしたが、見積金額にビックリ。希望は2,500万円以内と伝えていたのに見積額は4,000万円を超えていました。これから子供たちも成長して教育費も本番を迎えるのに夫婦共に完全に思考が停止しました。
A:弊社には過去のコンペで提案された30社からの合計4000件以上の見積書、その結果として約350件の工事契約書が有ります。これらに記載されている情報を統計処理すると実に面白いことに、島根県東部における延床面積と坪単価の相関関係が明確に分かります。簡単に言えば「どんな部屋が何帖で欲しい」が分かると簡単に計算シートから総工事費を計算できるということです。これには建築士の技量は関係有りません。つまり図面を描かなくてもほんの数分で工事費は大体推察できるということです。但しこれは平均額です。ココに各社の商品性(断熱性能やデザイン性、間接費)が加味されて差がでます。この差も各社で決まっていますので、建築業者を選べばかなりの精度でその工事費は推察できます。今回の見積書を拝見しましたが、「見積したら4000万円以上だった」のは、そもそもAさんの要望を反映しただけで工務店には何の悪意も有りません。
まずAさんが最初にすべき事は、そもそも予算額2,500万円の再確認です。たいていは何の根拠もなく直観や感覚、願望だったりします。将来家計簿を作れば、生活スタイルやお子様の進学希望、将来の働き方から住宅に掛けても良い額の正解が明確に計算できます。勿論これは各家庭で違いますので、自分たちの明確な予算を掴むことが全てのスタートになります。これを掴む事で「もっと予算を抑えた方が良いのでは?もっと予算を増やしても大丈夫?」という不安や迷いが消えて気が楽になります。その後、計算シートを使えば数分で平均的な工事費は算出できますので、その結果を見ながらAさんが必要とする部屋とその広さを生活スタイルから再検討し実現可能な間取プランを作ります。
以上の作業は1回では上手く行きません。もう少し住宅予算を増やす為に車の予算は減らそうとか家の面積を少し減らして教育費に余裕を持とうとか試行錯誤を繰り返します。上手く行かなければ元に帰って再度予算と設計のバランスを図ることで、最終的には現実的な住宅プランが完成します。以上は建築業者にお願いしなくても全て自分達だけで出来る作業です。そういう当たり前の事をしていないから思考停止になります。見学に行く前にゆっくりと腰を落ち着けて時間を掛けて自分たちの正解を掴んで下さい。
【アドバイス】
(1). 「まず見学会」の前に自分たちの2つの正解を掴むこと。
(2). 正解のひとつは根拠のある明確な予算額、もうひとつは実現可能な間取プラン。
(3). 以上を掴むと実は見学に行く先も決まったりします。
家族構成:
Aさん(松江市、30歳、会社員)、夫(37歳、会社員)、長男7歳、長女4歳。出来れば市中心部でマイホームの新築を希望。現在、土地を物色中。